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so sweet
遅ればせながら買ったBEAT CRUSASDERSの新譜を聞くことで、彼は曇天と寒さに耐えることができる。
「深夜2時以降のテレビショッピングの番組は効果あるのだろうか?いかにも家庭モノ、年配者向けのモノが多い気がするが、こんな時間に起きているのは若者ぐらいだろうと思えてならない。」
彼はビークルのリズムに合わせ、白い原付のスピードをあげた。

昨日。

彼女からのメールが来たのは、授業中、グループワークの真っ只中だった。
頭痛と吐き気がひどく気分が悪いそうだ。
そういえば、朝起きたときもそう言っていた。
心配になり、一服しながら休憩中に電話をかける。
周りの声が騒がしい。
「マジで本気でしんけんヤバかったら救急車呼ぶんで!授業終わったらすぐ行くけん!」と伝える。
同じ意味のこと何回言ってるんだよと後で恥ずかしく感じた。

授業が終わり、急いで大学生協でポカリとお粥を買う。
「風邪=ポカリと思ってしまう自分は大塚戦略にはまっているのだろうか?」と彼は感じながら原付で坂を下る。
彼女のマンションに着く。
彼女の部屋まで駆け上がる。
鍵のかかったドアを気にせず、インターホンを押す。
何度押しても返事はない。
熟睡してるかもと思い、電話しようと携帯を手に取る。
彼女の居場所を知らせる新着メールが15分前に届いていた・・・。

彼は再び原付に乗り駆け出した。
その病院へは一度友達の見舞いで行ったので、迷うことはなかった。

病院に到着し、受付の場所を聞く。
ドアを開ける。男がいる。男の前に窓口があるのがわかり、慌てて窓口に向かう。
「彼女がどの部屋に入院しているのか分かりますか」
「今はまだ診察していて、入院するかどうか分からないので、ロビーでお待ちください。」
思ったよりも親切な対応に安堵し、彼はテレビの前の番号のついた一番後ろの列のソファに座る。
彼女からのメールからはかなり時間が経っていた。

そのとき、移動ベッドがロビーを横切った。
見覚えのある黒い服を彼の目は捉えた。
・・・彼女だ!
彼は駆け寄り、彼女の名前を呼ぶ。
「友達の方ですか?」と付き添いの看護士。
「はい」と答える彼。
・・・恋人ですと答えるべきだったのか?しかし今はそんなことどうでもいい。
彼女は彼の名前を呼ぶ。
かぼそく弱っている声に彼はそれ以上何も聞かず「待ってるから」と告げ、急診室へと見送った。
救急車からそのまま手術室へ向かうドラマのような場面。
・・・彼女がどういう状態なのか気になるが、今は治療が先だ。

テレビでは火曜夜七時の番組が始まる。
時々後ろの急診室のドアが開く度振り返るが、看護士や医者や風邪を引いた子ども連れの親の出入りだけ。
なかなか彼女は出てこない。
・・・治療に時間がかかっているのか?手術?
大ヒットした白血病の少女と少年の物語を思い出さずにはいられない。
彼の頭のなかには先ほどのリアルなドラマの続きが映し出される。
・・・まだ会ったことのない彼女の両親。位牌。オーストラリアの海。
涙が滲み出る。最悪の想像をしてしまう自分を恥じた。
そう思いながらも、テレビ番組に笑ってしまう自分をさらに恥じた。

時間外患者が入れ替わる急診室を振り返りながら、彼はテレビを見ていた。
彼女が急診室に入ってから1時間半は過ぎただろうか。
彼はようやく気づいた。
・・・点滴を受けながら眠っているのだろう。何があったのかは分からないが無事なら。

彼女が急診室から出てきたのはそれから30分後だった。
苦しそうに彼に身を寄せる彼女。
彼女は流行の熱と頭痛がひどい風邪だった。
彼は彼女が重い病気でなく風邪であることに安心し、優しく髪をなでた。

「心配かけてごめん、迷惑かけてごめん。ありがとう。」と彼女は言う。
「いいよ」と彼は言う。
・・・迷惑なんて感じたりはしない。心配したけど、大切な人だから心配するんだよ。
   心配は迷惑なことでもなく、愛情なんだよ。
彼はそう言おうとしたが、言えなかった。
彼が逆の立場でも同じように心配かけたことを申し訳なく思うと分かっていたから。

病院の外の空気は冷たかったが、彼には心地良い気がした。
バスを待ちながら寒がる彼女。まだまだ気分は悪い。
オリオン座を見つけ、彼女のそばに寄る彼。
・・・そばにいるから。何もできないかもしれないけど。俺がいるから。

彼女の乗ったバスを見送った彼は駐輪場へ歩き、白い原付にキーを差し込む。
彼女のマンションへ向かうため、エンジンをかけると同時に
ある言葉を思い出した。
その言葉を繰り返しながら進む。

「大切な人を、大切に」
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2004-12-23 02:46 | +2愛 | Comment(0) | Trackback(0)
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